「社員がどのAIツールをどれだけ使っているか分からない」「毎月の利用料金の集計作業が負担になっている」といった課題を抱える情報システム担当者は少なくありません。生成AIの利用が急拡大する中、会社が把握していない「シャドーAI」への対策も急務となっています。こうした管理負担やセキュリティリスクを解消するアプローチが、AI SaaSの利用状況の集計を自動化する仕組みの導入です。
対応サービスの利用情報を定期的に収集・集計すれば、手作業の負担を大幅に軽減し、コストの最適化やセキュリティ対策へスムーズに反映する体制が整います。ただし、取得可能な情報や更新頻度は連携方法や製品仕様によって異なる点に留意しておきましょう。本記事では、自動化がもたらす具体的なメリットやおすすめのツール、選定時の判断基準を分かりやすく解説します。
社内におけるAIツールの利用状況やコスト管理が抱える課題

社内で利用されるAIツールが増えると、手動による利用状況やコストの管理は複雑になります。管理者が利用実態を把握できない状態では、セキュリティリスクや不要なコストを見落とすおそれがあります。
生成AIをはじめとする各種AIツールの導入が進むほど、サービスごとの情報を手動で集計する負担も増えます。特に、現場の社員が個人の判断で契約・利用する「シャドーAI」は、入力する情報や利用条件によっては情報漏洩のリスクにつながります。
さらに、使われていないアカウントに毎月課金され続けるといった、コスト面の無駄も発生しがちです。こうした課題に対応するために、AI SaaSの利用状況の集計を自動化し、管理対象の情報をまとめて把握することが有効です。

AIツールの利用状況を自動で集計・可視化できるおすすめツール4選

社内のAIツール利用状況を効率的に把握するには、自動集計や可視化に対応したサービスの活用が役立ちます。ただし、以下のサービスは管理対象が異なります。外部SaaSの利用情報を集約するもの、アンケートで利用実態を確認するもの、自サービス内の生成AI利用を管理するもの、IT資産を管理するものがあるため、自社で把握したい情報に合わせて選定しましょう。
| サービス | 主な対象 | 管理対象・取得方法 | 特徴 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|---|
| zooba | SaaS・IT資産の棚卸しを行う情報システム部門 | SaaS・IT資産の利用実態を、従業員へのアンケート回答から回収・集計 | アンケートの配信・回収・集計・リマインドの自動化 | 棚卸し項目の設定と既存のIT資産管理との連携性 |
| ワスレナイ | AI利用コスト管理やシャドーAI対策を重視する企業 | 対応AIツールの利用情報・費用を集約し、ブラウザ拡張機能でシャドーAIを検知 | 対応ツールのコスト差分の日次通知 | 契約プランごとの取得可否と通知先への対応 |
| exaBase AI | 生成AIの利用環境とサービス内の管理機能を求める企業 | 同サービス内で利用する生成AIのログ・活用状況を記録・集計。外部で個別契約したSaaSの横断管理とは対象が異なる | 複数モデルの利用、アクセス制御、活用状況の可視化 | 利用できるモデルとサービス内のログ・集計項目 |
| Coo Kai Perfect Finder | Microsoft 365等を利用し、IT資産管理を効率化したい企業 | IT資産の利用状況やライセンス使用率などを、AutopilotやIntune等との連携で可視化 | AI Agent連携による資産データの集計や経費負担レポートの自動化 | 連携環境と対象データ、別途Agent開発の要否 |
1. zooba(SaaS・IT資産管理とAIヘルプデスクによる自動化)
zoobaは、SaaS・IT資産管理やAIヘルプデスクを提供するサービスです。棚卸しに使うアンケート機能では、配信から回答の回収、集計、未回答者へのリマインドまでを自動で完結。ここで集計する利用実態は従業員の回答に基づくため、回答時点や回収状況を念頭に置いてデータを精査するのが運用上の注意点です。出典:zooba公式:アンケート機能
2. ワスレナイ(シャドーAI検知と利用コストの自動通知)
ワスレナイは、ブラウザ拡張機能を通じて、会社が把握していないシャドーAIを自動で検知します。また、対応するAIツールの利用料金や利用状況を集約し、コストの差分を日次でSlackやMicrosoft Teamsなどへ通知する機能を備えています。取得できる情報は利用中のプランや契約内容によって異なるため、自社の導入サービスでどの項目が取得可能か、導入前のすり合わせが欠かせません。出典:ワスレナイ公式:生成AI管理機能

3. exaBase AI(利用ログ管理とセキュリティ対策の徹底)
exaBase AIは、複数モデルを横断して利用可能な法人向け生成AIサービスで、同サービス内の利用ログや活用状況を一元管理する機能を備えています。活用状況や内容をAIが判別し、業務ごとの工数削減時間を自動集計してダッシュボードに表示するほか、アクセス制御にも対応。管理対象はあくまで同サービス内の利用であり、外部で個別契約したAIサービスの利用ログや費用を横断的に収集するツールとは対象範囲が異なる点に注意してください。出典:exaBase AI公式ページ
4. Coo Kai Perfect Finder(IT資産の利用状況の可視化と集計自動化)
Coo Kai Perfect Finderは、IT資産の利用状況やライセンス使用率を可視化するツールです。AutopilotやIntuneとの連携によりPCの利用状況などを把握し、AI Agentとの連携で資産データの集計や経費負担レポートの作成を自動化します。Microsoft 365 Copilotとの連携も案内されていますが、これだけで幅広いAI SaaSの利用ログや課金情報を網羅できるわけではありません。公式ページでは状況により別途Agent開発が必要になるとされているため、自社の連携環境や実現したい処理をベンダーに伝え、対応範囲と開発の要否を事前に洗い出しておくとスムーズです。出典:Coo Kai Perfect Finder公式ページ
集計業務の自動化によって企業が得られる3つの導入メリット

AI SaaSの利用状況の集計を自動化することで、管理工数の削減、コストの最適化、セキュリティの強化という3つのメリットがもたらされます。必要なデータを取得する仕組みと運用ルールを整えれば、担当者が本来注力すべき改善施策の検討に時間を割く余裕が生まれます。
1つ目のメリットは、管理工数の削減です。従来は各部署へのヒアリングやスプレッドシートへの転記に時間を要していました。対応サービスの利用情報を定期的に収集・集計したり、アンケートの回収・集計を自動化したりすることで、こうした作業の負担を減らせます。データの更新頻度は連携方法や製品仕様によって異なり、アンケート方式では回答状況にも左右されます。
2つ目は、不要なライセンスの削減によるコスト最適化です。取得した利用情報から利用頻度の低いアカウントを特定し、業務上の必要性や契約条件を踏まえて解約・ダウングレードを検討します。この見直しを定期的な業務フローに組み込むことで、無駄な支出の削減を継続的に実現する仕組みが整います。
3つ目は、シャドーAIの検知によるセキュリティ強化です。検知機能を備えたツールを導入すれば、対応範囲内で未承認のAI利用を速やかに把握。検知後のヒアリングや利用ルールの周知を組み合わせることで、機密情報の流出リスクを最小限に抑える体制づくりに役立ちます。
自社に最適な管理ツールを選ぶための選定基準

自社に最適なツールを選ぶには、既存の業務環境との連携性や、対応しているAIツールの範囲を確認することが欠かせません。導入コストだけでなく、現場と管理者の双方が使いこなせる運用性を重視しましょう。
まず、SlackやMicrosoft Teamsなど、社内で日常的に使われているチャットツールと連携できるかを確認します。自動通知やアンケート回収を普段の業務フローに組み込めれば、回答や確認を促しやすくなります。
次に、自社で導入している、あるいは導入予定のAIツールに対応しているかどうかも見逃せない判断基準です。API連携やブラウザ拡張機能、アンケートなどの取得方法に加え、利用ログ・料金・アカウント情報のどこまで取得できるか、更新頻度はどの程度かを確認します。導入前には一部の対象で試し、取得情報の正確さや自社のセキュリティポリシーへの適合性を精査しておきましょう。
ツール導入時に注意すべきセキュリティ対策と運用のポイント

ツールの導入効果を高めるためには、社内のAI利用ガイドラインの整備と、検知後の対処フローの構築が欠かせません。システムによる監視に加え、社員への教育を並行して進めることが大切です。
ツールを導入してシャドーAIを検知できても、その後の対処ルールが曖昧では十分に活用できません。「未許可のツールが検知された場合は、利用申請を促すか、利用を制限する」といった具体的な運用フローを定めておきます。
また、社員に対してAIツールの安全な利用方法を教育し、ガイドラインを周知することも効果的です。入力してよい情報や利用申請の手順を共有することで、未承認の利用や不適切な情報入力を減らす土台を整えられます。

AX CAMPなら現場成果から逆算したAI活用を学べます

株式会社AXが提供するAX CAMPは、業務課題の整理から実務活用まで伴走する法人向けAI研修サービスです。企業ごとの業務課題を分解し、AI化計画の策定や実務への落とし込みを支援します。
本プログラムは、完全オンラインで受講可能なカリキュラムとなっており、14時間のeラーニングとAI化計画のプランニング、さらに半年〜年間の伴走支援を組み合わせています。プログラミング不要で、PCの基本操作ができれば受講可能なため、IT部門だけでなく現場の非エンジニア社員も実践的なAI活用を学べます。詳細はAX CAMP公式サービスページをご確認ください。
実際の導入事例として、株式会社JIMOS様(事例ページ)では、役員・管理職から段階的にAI活用を広げ、全社で活用するための土台づくりを進める取り組みが紹介されています。AIを実務に定着させ、生産性の向上を目指す企業にとって参考になる事例です。

まとめ:AI SaaSの利用状況の集計を自動化して業務効率化とコスト削減を実現しよう
AI SaaSの利用状況の集計を自動化することは、社内AIツールの管理負荷を軽減し、コストの見直しやセキュリティ対策を進めるための有効な手段です。製品ごとに管理対象・取得方法・更新頻度が異なるため、自社が把握したい情報に合ったツールを選定し、適切な運用ルールを設けましょう。
手作業による集計業務を効率化し、収集した情報を契約の見直しや未承認ツールへの対処に活用することで、企業全体の管理体制の強化につながります。さらにAIの実務活用や社内定着を目指す場合は、業務課題の整理から伴走する法人向けAI研修サービス、AX CAMPの活用も検討してみてください。

