「備品がどこにあるか分からない」「棚卸の時期になると業務が止まってしまう」といった総務・管理部門の悩みは絶えません。従来のアナログな管理方法では限界を感じている方も多いのではないでしょうか。
AI備品管理を検討する際は、AIによる物品の特定や登録支援と、QRコードなどを使った棚卸・貸出管理を区別することが大切です。本記事では、AI活用のメリットや具体的な選定基準を解説し、AI機能を備えた製品と一般の備品・IT資産管理システムを含めた10選を紹介します。
従来の備品管理が抱える課題とAI技術が注目される背景

従来の備品管理では、手入力による人的ミスや棚卸の工数が課題となります。こうした負担を減らす方法として、管理台帳のクラウド化に加え、AIによる画像認識や登録支援を活用する選択肢があります。
エクセルや手書きの台帳を部署ごとに管理していると、情報共有や更新に時間がかかり、紛失や二重購買につながるおそれがあります。テレワークや複数拠点での業務では、誰がどこで何を使っているかをリアルタイムに可視化する仕組みが欠かせません。
例えば、zaicoは撮影画像から登録済みの物品を特定する機能を、Werpは商品名や型番をもとに備品情報の入力を支援する機能を提供しています。AIに任せる処理と、利用者が確認・入力する項目を分けて運用を設計しましょう。(出典:ZAICOの公式発表、Werpの公式発表)

AIを活用した備品管理を導入するメリット

AIを活用した備品管理は、物品を探す手間や情報入力の負担軽減につながります。ただし、短縮できる工程や実際の操作手順は製品によって異なるため、棚卸全体の効率化と個別機能の効果を切り分けて評価することが大切です。
zaicoの「撮るだけAI在庫管理」では、撮影画像からAIが物品を特定し、該当する在庫データを表示します。その後、利用者が在庫数を入力する手順です。写真から物品を特定する機能と、数量の計数・入力、新規台帳登録は区別して捉えましょう。手入力や転記の負担を減らせる一方、認識結果の最終確認は欠かせません。(出典:「撮るだけAI在庫管理」の操作手順)
ZAICOの2025年7月の発表によると、同社の実験では、物品1個あたりの棚卸記録時間が手作業比で平均15分の1になりました。(出典:ZAICOの実験結果)これは物品ごとの記録時間に関するメーカー公表値であり、棚卸全工程の所要時間や、複数物品の一括スキャンによる削減率を示すものではありません。
貸出・返却の状況共有は、一般的な備品管理機能でも対応しています。例えばColorkrew Bizでは、備品に貼付したQRコードを読み取るなど、所定の操作に応じて貸出・返却が記録されます。利用者が操作を忘れた場合の記録漏れを防ぐため、現物と履歴を定期的に照合する運用も欠かせません。(出典:Colorkrew Biz公式FAQ)
自社に最適な備品管理システムを選定する基準

自社に合う備品管理システムを選ぶ際は、現場での操作性と既存システムとの連携性を重視して比較します。コストと機能のバランスを見極め、自社の運用フローに合致するものを選定しましょう。
まず重視したいのが、現場の従業員が迷わず使えるシンプルな操作性です。どれだけ高機能であっても、スマートフォンの操作が複雑であれば現場に定着せず、入力漏れの原因になります。AI機能を試す際は、認識結果の確認や訂正まで含めてスムーズに操作できるかを見極めましょう。
次に、現在使用しているERPやチャットツール、グループウェアとの連携機能をチェックします。さらに、バーコードやQRコード、ICタグなど、自社が管理したい備品の種類に適した識別技術に対応しているかも重要な判断基準です。AIの処理範囲、事前の台帳登録やラベル貼付の要否、対応端末、プランごとの利用条件もあわせて整理しておきましょう。
AI対応製品を含む備品・IT資産管理システムおすすめ10選

ここでは、AIによる物品特定や登録支援を備えた製品に加え、QRコード・ICタグなどで管理を効率化するシステムも紹介します。管理対象は一般備品、在庫・予備品、IT機器で異なります。自社の対象物と改善したい工程に合わせて比較してください。
表の「未確認」は、参照した公式情報で対象業務のAI機能を確認できなかったことを示し、AI機能が存在しないという断定ではありません。画像認識や情報の自動収集についても、公式情報でAI利用が明記されている機能と区別しています。出典は各製品紹介に記載しています。
| サービス | 主な管理対象 | 特徴 | 確認できたAI機能 | 識別・記録方法 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| zaico | 在庫・物品 | 画像から該当する在庫データを検索 | 「撮るだけAI在庫管理」による物品特定 | 物品を撮影し、表示結果を確認して数量を入力 | 認識精度、対応端末、利用回数とプラン |
| Werp | 機材・器具・設備 | 製品情報と個体情報を分けて管理 | 「WerpAI」による製品候補の提示・登録情報の補完 | キーワード入力後に候補を選択。個体ごとにQRラベルを利用 | 候補情報の正確性と予約・貸出の操作性 |
| 備品管理システム(東芝システムテクノロジー) | 器材・工具 | 複数器材の認識と管理情報・現物の照合 | AI利用の明記は未確認。画像認識機能あり | 情報を紐づけた画像認識シールをカメラで認識 | シールの貼付条件と現場での読み取り性能 |
| 物品管理システム(備品管理テンプレート) | 什器・電子機器などの備品 | 設置場所や管理者の情報管理、棚卸 | 未確認 | 備品情報の登録と棚卸確認。コード読み取りの対応範囲は要確認 | 登録方法と既存システムとの連携範囲 |
| Convi.BASE | 固定資産・備品・工具など | 台帳、棚卸、貸出などの管理機能 | 未確認 | バーコード・ICタグなどの読み取りと台帳更新 | 管理対象に合うラベルと必要なオプション |
| 備品管理クラウド | 一般備品・IT資産 | 登録支援と利用者による棚卸・貸出申請 | AI-OCRによる型番・製品番号の読み取りと台帳作成支援 | 製品ラベル等の撮影、管理用QRコードの読み取り、利用者による報告 | 読み取り結果の確認と申請・承認フロー |
| Stock Viewing | 製造現場・倉庫の予備品 | RFIDによる一括読み取りと探索 | 未確認 | 予備品情報を登録し、貼付したRFIDタグを読み取る | タグの適合性と読み取り機器の構成 |
| Assetment Neo | 社内資産・貸出品 | 資産台帳の一元管理と棚卸・貸出管理 | 未確認 | バーコード・QRコード・RFIDを利用 | 管理業務に合う製品構成と運用支援 |
| Colorkrew Biz | オフィスの資産品・貸出品 | QRコードによる棚卸・貸出・返却 | 備品管理に関するAI機能は未確認 | 事前にQRコードを貼付し、アプリで読み取り。貸出・返却はPC操作も可能 | QRコード貼付の運用と予約機能の設定 |
| LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版 | PC・スマートフォンなどのIT機器 | IT資産情報の収集とセキュリティ管理 | 「LANSCOPE Copilot」による操作・運用方法の案内 | 管理対象端末の資産情報を自動収集。周辺機器は手動登録も可能 | 対応OS、収集項目、管理できる機器の範囲 |
1. zaico(株式会社ZAICO)
クラウド在庫管理システムで、「撮るだけAI在庫管理」により撮影画像から物品を特定します。表示された在庫データを確認した後、数量は利用者が入力します。認識が難しい場合は、候補の選択やバーコード読み取りへの切り替えで対応できます。導入前に、自社の物品と撮影環境でテストし、対応端末やプランの利用条件を把握しておきましょう。(出典:ZAICO公式機能発表。zaico公式サイト)
2. Werp(Creators Team Inc.)
備品の登録・検索・予約・貸出・返却を管理するクラウドサービスです。「WerpAI」は、利用者が入力した商品名や型番をもとに製品候補を提示し、候補を選択すると製品名やメーカーなどの情報を補完します。登録内容の確認は利用者が行い、保管場所や状態は個体ごとに管理します。QRラベルを使った現場運用にも対応しています。(出典:Werp公式発表・機能紹介)
3. 備品管理システム(東芝システムテクノロジー株式会社)
器材・工具の貸出予約から返却、所在管理までを支援するシステムです。公式ページでは、器材情報を紐づけた画像認識シールを使い、カメラで複数器材を認識する仕組みが紹介されています。貸出対象との照合や校正記録の確認に役立ちます。AI利用の明記は確認できないため、画像認識を用いた備品管理システムとして比較検討を進めてください。(出典:備品管理システム公式ページ)
4. 物品管理システム(大塚商会)
大塚商会のERPナビでは、物品管理システムとして「備品管理テンプレート」が紹介されています。机やキャビネット、パソコンなどの備品について、設置場所や管理者を管理し、棚卸で情報を確認する用途です。AI機能は参照した公式紹介で確認できないため、台帳・棚卸管理の候補として検討してください。識別方法や既存システムとの連携範囲は、導入前にしっかりと見極めておくことが大切です。(出典:大塚商会公式「備品・資材管理」製品紹介)
5. Convi.BASE(株式会社コンビベース)
台帳機能を中心に、棚卸や貸出、入出庫などの管理機能を備えた物品管理クラウドサービスです。バーコードやICタグを読み取って現物を確認し、台帳と照合する運用に対応しています。管理したい資産の種類に合わせて必要な機能やオプションを選びましょう。参照した公式情報では、備品管理におけるAI連携は確認できません。(出典:Convi.BASE公式製品ページ、提供会社の公式情報)
6. 備品管理クラウド(アストロラボ株式会社)
備品の台帳、棚卸、貸出などを管理するクラウドサービスです。提供会社は、AI-OCRで型番・製品番号を読み取り、台帳作成を支援する仕組みを紹介しています。読み取った内容を確認して登録する運用を整備するとスムーズです。(出典:アストロラボ公式発表)貸出申請や棚卸報告は利用者が行い、管理用QRコードを読み取って操作する設計です。(出典:備品管理クラウド公式製品ページ)
7. Stock Viewing(東芝テック株式会社)
製造現場や倉庫にある予備品を管理するRFIDソリューションです。予備品の情報を登録し、RFIDタグを貼付した上で読み取ることで、入出庫や棚卸、探索を支援します。在庫数・保管場所・有効期限の確認にも対応しています。AIによる写真認識とは処理方法が異なるため、タグの貼付や読み取り機器を含めて導入を検討しましょう。(出典:Stock Viewing公式製品ページ)
8. Assetment Neo(株式会社アセットメント)
社内の資産台帳を一元管理し、棚卸や貸出管理を支援するクラウド型の社内資産管理システムです。バーコード・QRコード・RFIDを活用した物品管理に対応し、情報システム部門、経理部門、貸出管理部門などの用途に応じた製品構成が用意されています。参照した公式情報ではAI機能を確認できないため、ラベルを使った現物管理の候補として比較しましょう。(出典:Assetment Neo公式製品ページ、株式会社アセットメント公式サイト)
9. Colorkrew Biz(株式会社Colorkrew)
オフィスの資産品や貸出品をQRコードで管理するツールです。棚卸では、あらかじめ備品用QRコードを貼付し、スマートフォンのアプリで読み取って現物を確認します。貸出・返却はQRコードの読み取りやPC上の操作で処理し、事前予約には管理ツール側の設定を行います。AIによる物品認識とは区別して、日常の記録操作が現場に合うかを見極めることが大切です。(出典:Colorkrew Biz公式備品管理ページ、公式FAQ)
10. LANSCOPE(エムオーテックス株式会社)
IT機器の管理を検討する場合は、「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」が候補になります。管理対象端末からハードウェア・ソフトウェア情報を収集し、資産管理やセキュリティ対策を支援します。AIアシスタント「LANSCOPE Copilot」は操作・運用方法の案内を担う機能です。端末情報の自動収集や一般備品の現物確認とは役割が異なるため、管理対象と必要な機能を確認してください。(出典:LANSCOPE公式PC管理ページ)

備品管理システムを導入する具体的な手順

備品管理システムをスムーズに導入するためには、現状の整理から段階的に進めるプロセスが効果的です。一気に全社展開するのではなく、テスト運用を経て本番稼働へ移行しましょう。
最初のステップとして、現在社内にある備品の現状把握とリスト化を行います。不要な備品の扱いを整理し、管理対象を明確に絞り込む作業から着手しましょう。品名・管理番号・保管場所・使用者など、管理に必要な情報を揃えます。
次に、特定の部署や一部の備品に限定してテスト運用を実施します。ラベルの準備、撮影・読み取り、数量入力、結果の訂正まで含めて所要時間と記録漏れを確認してください。現場からのフィードバックをもとに、操作マニュアルやルールを見直した上で、全社での本番運用を開始します。
システム導入・運用における注意点と対策

システムを導入しても、現場の従業員がルールを守らなければ台帳の形骸化を招いてしまいます。導入初期の入力負荷を軽減し、操作への抵抗感をなくすための対策を事前に講じておきましょう。
よくある失敗例として、登録項目が多すぎて現場が入力作業を怠ってしまうケースが挙げられます。初期段階では必須入力項目を最小限に絞り、誰でも操作できるシンプルなマニュアルを用意しましょう。AIが誤認識した場合の候補選択・訂正方法と、貸出・返却が未記録だった場合の現物照合・履歴修正の手順も定めてください。
また、各部署に推進リーダーを配置し、操作方法のレクチャーやルール遵守の呼びかけを日常的に行う体制づくりも有効な対策です。現場の声を吸い上げ、システムの設定を柔軟に見直す姿勢が定着化を後押しします。
備品・在庫管理システムで業務効率化を実現した企業の事例

導入事例を比較する際は、製品名だけでなく、実際に使用した機能と対象工程を精査することが大切です。ここでは、QRコードと棚卸機能による在庫管理の改善例を紹介します。
福井ケーブルテレビ株式会社では、zaicoを使い、在庫置き場に貼ったQRコードをスマートフォンで読み取って入出庫や棚卸を記録しています。現物の数量を数えてデータと照合し、棚卸ワークスペースを活用した結果、担当者によると、ある拠点の棚卸時間が導入前の60分から5分になりました。(出典:ZAICO公式発表:福井ケーブルテレビの導入事例)
この事例で確認できるのは、QRコードと棚卸ワークスペースを活用した特定拠点の成果です。AIで棚の写真から数量を自動更新した実績を示すものではありません。自社で検証する際も、撮影や読み取りだけでなく、数量確認・訂正・集計まで含め、導入前後で同じ工程を測定しましょう。

AX CAMPなら現場成果から逆算したAIによる備品管理を設計できます

AI備品管理の導入を進めるには、対象業務を整理し、AIに任せる処理と人が確認する工程を設計することが大切です。株式会社AXが提供する「AX CAMP」は、現場での成果創出を目指す法人向けAI研修・伴走支援サービスです。
14時間のeラーニングでAI活用の基礎からAIエージェント設計までを学び、業務ヒアリングとAI化計画のプランニング、半年〜年間の伴走支援を組み合わせて、実務における設計・改善・定着を支援します。備品管理への活用を検討する場合も、課題や既存システムとの連携条件を整理した上で、適用範囲を相談しながら具体化していきます。(出典:AX CAMP公式サービスページ)
株式会社JIMOSでは、役員・管理職を起点に、3段階での全社展開に向けたAI活用の土台づくりを進めています(株式会社JIMOSの事例)。これは組織的なAI活用に関する事例です。備品管理においても、担当者を育成し、運用ルールと評価方法を整えることが定着につながります。

まとめ:AIを活用した備品管理で業務効率化とコスト削減を目指そう
AIを活用した備品管理では、物品の特定や登録支援による作業負担の大幅な軽減が見込めます。QRコードやICタグを使った棚卸・貸出管理も含めて比較し、自社の課題に合ったシステムを段階的に導入していくのが賢明です。
効果を確かめるには、AIの認識結果の確認、数量入力、貸出・返却の記録、現物との照合まで含めた一連の運用設計が欠かせません。まずは現状の備品リストを整理し、一部の部署で作業時間や記録精度を測定するテスト運用から始めてみてください。
自社に最適なAIの活用方法や、現場に定着するシステムの設計に不安がある場合は、専門の研修や伴走支援サービスを利用することも有効な選択肢です。

