「毎月末、山積みの請求書を手入力する作業に追われている」「インボイス制度や電子帳簿保存法への対応で、確認作業が複雑化してミスが不安」とお悩みではありませんか?手作業による請求書処理は、時間と精神的な負担が大きいものです。
AI請求書OCRの導入は、請求書の入力や確認にかかる作業を効率化し、経理のDXを後押しする有効な手段です。ただし、削減できる時間は製品や処理件数、既存の業務フローによって異なります。この記事では、2026年8月時点の情報をもとに、代表的なサービス8選と、自社に合うツールを見極める選定ポイントを分かりやすく解説します。
請求書受領業務における手作業の課題

手作業による請求書受領業務には、入力や確認に多くの時間がかかることや、誤記などのヒューマンエラーが発生しやすいという課題があります。これらの問題は、経理担当者の負担を増やし、企業の生産性を低下させる要因となります。
1. 入力作業や確認作業にともなう膨大な時間の浪費
毎月発生する請求書の仕訳入力や金額の突合、支払データの作成などは、手作業で行うと多くの時間を消費します。特に取引先が多い企業では、月末から月初にかけて経理部門がこれらの作業に追われ、他のコア業務に手が回らなくなるケースがあります。
さらに、紙の請求書をスキャンして手動でフォルダ分けする作業や、メールで届いたPDFを一つずつダウンロードして確認する作業も、無視できない時間的ロスを生み出します。これらの単純作業が積み重なることで、本来注力すべき財務分析や資金繰りの計画といった業務が後回しになる可能性があります。

2. 手入力による誤記や確認漏れなどのヒューマンエラー
手作業でデータを入力する以上、金額の打ち間違いや取引先名の誤認といったミスを完全に防ぐことは困難です。こうした誤記が、二重支払や支払遅延といったトラブルにつながるおそれもあります。
ミスを防ぐためにダブルチェックやトリプルチェックを行う場合、その確認作業自体が経理担当者の負担になります。特に繁忙期には確認作業が集中するため、入力工程と確認工程の両方を見直し、業務全体のボトルネックを解消しなければなりません。

AIによる請求書OCRの仕組みと従来のOCRとの違い

AI請求書OCRは、機械学習などの技術を活用し、レイアウトが異なる請求書から日付、金額、取引先名などの情報を抽出するシステムです。帳票ごとに読み取り位置を固定する方式と比べて、非定型帳票に対応しやすい傾向があります。ただし、必要な設定や対応できる帳票、読み取り精度は製品によって異なります。
1. AIの学習機能による非定型フォーマットへの対応力
取引先ごとに請求書のレイアウトは異なり、記載位置や項目名も統一されていません。AI請求書OCRは、文字情報や配置などを解析し、「日付」「金額」「取引先名」といった項目を判別して抽出します。
新しいレイアウトの請求書にも対応できる製品がありますが、すべての帳票を設定なしで正確に読み取れるわけではありません。項目定義や取引先マスターの登録、読み取り結果の修正といった初期設定を伴うケースもあるため、実際の請求書を使った事前検証が欠かせません。
2. 事前設定の手間や読み取り精度における実務上の差
読み取り位置をあらかじめ指定する従来型のOCRでは、帳票レイアウトごとにテンプレート登録が必要になる製品があります。一方、従来型でも非定型帳票に対応する製品があり、設定方法は一律ではありません。
AI請求書OCRも、製品によっては項目設定、学習、マスター整備、例外処理といった手作業を伴います。また、手書き文字や不鮮明な画像を読み取れるかどうかも製品や画像品質によって異なります。導入時は「AI-OCRだから設定や確認が不要」と考えず、運用時に発生する実務まで含めて比較しましょう。
請求書の自動データ化を導入する3つのメリット

AI請求書OCRを導入して請求書のデータ化を自動化すると、業務効率の向上、ペーパーレス化によるコスト削減、月次決算の早期化が期待されます。実際の効果は、対象業務、処理件数、会計システムとの連携範囲、確認作業の設計によって変わります。
1. 請求書処理の自動化による業務効率の向上
請求書をアップロードすると、OCRが項目を抽出し、製品によっては仕訳データや振込データの作成を支援します。手入力を減らせる一方、読み取り結果の確認や例外処理は避けられません。導入効果を見積もる際は、OCR処理だけでなく、受領、確認、承認、支払までの工程全体を整理しておきましょう。
入力作業を削減できれば、財務分析や資金繰りの改善といった、より付加価値の高い業務に時間を充てやすくなります。また、処理手順や確認ルールを整備することで、属人化した経理業務の標準化にもつなげられます。

2. ペーパーレス化の推進と保管コストの削減
紙で届く請求書をスキャンしてデータ化し、電子データとしてクラウド上で一元管理することで、ファイリング作業や保管スペースの削減につながります。ただし、紙をスキャンしただけで電子帳簿保存法の保存要件を満たすとは限らないため、対象書類と保存方法が法的な基準に適合しているか見極めなければなりません。
日付、金額、取引先などで検索できるシステムを利用すれば、過去の請求書を探しやすくなります。監査や税務調査への対応を想定し、原本の扱い、検索条件、訂正・削除の履歴なども含めて運用を設計しましょう。
3. リアルタイムでの月次決算の早期化
受領した請求書を随時データ化し、会計システムへ連携する運用を整えることで、月末に集中していた入力作業を分散させられます。承認や確認を含む処理状況を可視化できれば、未処理の請求書も把握しやすくなります。
月次決算の早期化につなげるには、OCRだけでなく、請求書の回収、承認、仕訳、会計連携までの業務フローを見直すアプローチが効果的です。連携方法や反映タイミングは製品によって異なるため、導入前に仕様をチェックしておきましょう。
自社に最適なサービスを選定する際の比較ポイント

自社に最適なAI請求書OCRを選定する際は、単に価格の安さだけで決めるのではなく、実務での使いやすさや既存システムとの親和性を総合的に評価する視点が欠かせません。具体的には、以下の4つの視点を持って比較検討を進めることを推奨します。
まず、最も重要なのが「読み取り精度」です。手書き文字や、かすれた印刷の請求書でも認識できるか、読み取り対象となる項目は何かを、実際のサンプルデータでテストしましょう。精度の数値を比較する場合は、OCR単体の精度か、人による確認後のデータ化精度かも確認してください。
次に、「既存システムとの連携性」を確認します。現在利用している会計ソフトやERP、支払管理システムと、CSV出力やAPI連携によってデータをやり取りできるかどうかが、二重入力を減らすポイントとなります。
さらに、現場の担当者が操作しやすい「操作性」と、導入時や運用中の問い合わせに対応する「サポート体制」の充実度も選定を左右します。求める機能が標準プランに含まれるか、オプション契約が伴うかもあわせてチェックしておきましょう。
おすすめのAIを活用した請求書OCRサービス8選

AIを活用した請求書受領・OCRサービスは、OCR単体の製品、請求書の受領代行を含む製品、承認や支払まで管理する製品など、提供範囲が異なります。ここでは代表的な8つのサービスを紹介します。機能や料金、法制度への対応範囲は変更される可能性があるため、導入時は各公式ページと契約プランを確認してください。
| サービス | 主な用途 | 特徴 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|
| Remota | 請求書のデータ化とERP連携 | 会計業務向けAI-OCRによる項目抽出 | 利用中のERPや基幹システムとの連携方法 |
| RICOH 受領請求書サービス | 紙・PDFの請求書処理 | AI-OCRと複合機・会計システムとの連携 | 利用するコースと対象機能 |
| スマートOCR 請求書パック | 異なるレイアウトの請求書の読み取り | 非定型帳票から必要項目を抽出 | 自社帳票での精度と必要な設定 |
| マネーフォワード クラウド債務支払 | 受領・支払申請・仕訳連携 | AI-OCRを含む請求書処理機能 | 他製品との連携範囲とオプション |
| バクラク請求書受取 | 請求書受領から支払までの管理 | AI-OCRによる項目読み取りと一括処理支援 | 自社の承認・支払フローとの適合性 |
| TOKIUMインボイス | 請求書の受領・データ化代行 | AI-OCRとオペレーターを組み合わせたデータ化 | 代行範囲、納期、料金体系 |
| Bill One | 請求書の代理受領・一元管理 | 複数の受領方法とデータ化、ワークフロー | 取引先への案内と受領方法の設計 |
| 楽楽請求 | 請求書の受領・申請・支払処理 | AI-OCRによる読み取りと仕訳・支払処理支援 | 必要な機能が含まれるプランと運用方法 |
1. Remota(ファーストアカウンティング株式会社)
Remotaは、ファーストアカウンティング株式会社が提供する会計業務向けのサービスです。請求書に記載された日付、金額、取引先などをAI-OCRで読み取り、データ化した情報をERPへ連携する運用を支援します。
請求書の受領やスキャンを代行するサービスも提供されています。対応帳票や連携方法については、ファーストアカウンティングの公式情報で確認してください。
2. RICOH 受領請求書サービス(株式会社リコー)
株式会社リコーが提供するRICOH 受領請求書サービスは、紙やPDFの請求書をAI-OCRでデータ化し、コースに応じて振込データや仕訳データの作成を支援するサービスです。複合機からの取り込みに対応する構成も用意されています。
生成AIを利用して企業や担当者ごとの運用ルールに合わせてOCR結果を最適化する機能も案内されています。対象機能はコースによって異なるため、事前にRICOH 受領請求書サービスの公式ページで詳細を把握しておくとスムーズです。
3. スマートOCR 請求書パック(株式会社インフォディオ)
株式会社インフォディオのスマートOCR 請求書パックは、レイアウトが異なる請求書から必要な項目を抽出するAI-OCRです。少数のテンプレートで多様な帳票に対応する仕組みが案内されています。
自社の請求書で読み取れる項目や、導入時に求められる設定項目をあらかじめ整理しておくことをおすすめします。機能の詳細は、スマートOCR 請求書パックの公式ページを参照してください。
4. マネーフォワード クラウド債務支払(株式会社マネーフォワード)
株式会社マネーフォワードが提供するマネーフォワード クラウド債務支払は、請求書の受領、AI-OCRによるデータ化、支払申請、承認、仕訳連携などを管理するサービスです。受領代行など、一部の機能はオプションとして提供されています。
会計システムとの連携範囲や必要な契約は利用構成によって異なります。請求書のデータ化から決算書作成までを単一製品だけで完結できるとは限らないため、マネーフォワード クラウド債務支払の公式機能ページで確認してください。
5. バクラク請求書受取(株式会社LayerX)
株式会社LayerXが提供するバクラク請求書受取は、AI-OCRを使って請求書の項目を読み取り、請求書の受領から承認、支払に関する業務を支援するサービスです。複数の請求書をまとめてスキャンした場合のファイル分割を支援する機能も案内されています。
同シリーズの製品と組み合わせられますが、利用できる機能や連携範囲は契約内容によって異なります。詳細は、バクラク請求書受取の公式機能ページで調べてみてください。
6. TOKIUMインボイス(株式会社TOKIUM)
株式会社TOKIUMが提供するTOKIUMインボイスは、紙や電子の請求書の受領とデータ化を支援するサービスです。データ入力では、AI-OCRをオペレーターの補助として活用し、不一致がある場合は複数のオペレーターによる確認を行う仕組みが案内されています。
OCR単体の読み取り精度や契約上の保証値として99.9%を示すものではないため、精度の定義を区別して捉えなければなりません。データ化の仕組みは、TOKIUMの公式発表から把握できます。
7. Bill One(Sansan株式会社)
Sansan株式会社が提供するBill Oneは、郵送やメールなどで届く請求書を受領し、データ化したうえでクラウド上に集約するサービスです。代理受領、データ化、承認ワークフロー、システム連携などの機能が案内されています。
受領方法やデータ化の条件には運用上のルールがあるため、取引先への案内方法も含めて設計しておかなければなりません。詳細は、Bill One of 公式ページをご一読ください。
8. 楽楽請求(株式会社ラクス)
株式会社ラクスが提供する楽楽請求は、紙やPDFなどで届く請求書を一元管理し、AI-OCRで日付、金額、支払先などを読み取る請求書受領システムです。申請・承認、仕訳、支払処理を支援する機能も案内されています。
登録番号の読み取りと国税庁データベースとの照合、仕入税額控除の経過措置区分の管理に対応する機能もあります。ただし、法令対応に必要な機能や設定は運用・契約内容によって異なるため、楽楽請求の公式機能ページで確認してください。
導入を検討する際に注意すべきポイント

AI請求書OCRを導入する際には、システムの読み取り精度が100%ではないことや、既存の業務フローを見直す必要がある点に注意しなければなりません。これらの注意点を事前に把握しておくことで、導入後のミスマッチや現場の混乱を防ぎやすくなります。
どれほど高精度なAI-OCRであっても、手書き文字、不鮮明な画像、特殊なレイアウトでは読み取りエラーが発生するおそれがあります。そのため、自動データ化の後に人間の目による確認・修正を行うか、オペレーター確認を含むサービスを選ぶなど、誤りを検知するワークフローをあらかじめ設計しておかなければなりません。
また、ツールの導入に合わせて、請求書の受け取り方法や社内の承認ルールを見直す場合があります。初期費用や月額費用だけでなく、従量料金、オプション料金、確認作業にかかる工数も含め、自社の処理件数に合うプランを選びましょう。
2026年8月時点の電子帳簿保存法やインボイス制度への対応

電子帳簿保存法やインボイス制度への対応では、AI請求書OCRによる文字の読み取りだけでなく、保存方法、検索機能、訂正・削除への対策、確認手順などを含めた運用設計が求められます。製品を導入しただけで法令対応が完了するとは限りません。
インボイス制度では、適格請求書発行事業者の登録番号を読み取り、国税庁のデータベースと照合できる製品があります。ただし、番号の抽出、データベースとの照合、法令要件を満たす保存はそれぞれ異なる機能であり、対応範囲は製品やプランによって異なります。
また、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに関する経過措置は、令和8年度税制改正により見直されました。原則として令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用され、仕入税額控除の割合は令和8年10月から70%、令和10年10月から50%、令和12年10月から30%へ段階的に縮減されます。制度の時期に応じた区分管理ができるかを確認してください。詳細は、国税庁のインボイス制度の見直しに関する案内を参照しましょう。
電子取引データの保存では、真実性や可視性を確保するための要件があります。日付、金額、取引先で検索できることだけでなく、改ざん防止措置や見読可能性なども満たさなければなりません。具体的な要件は、国税庁の電子帳簿保存法に関する案内で開示されています。
AIを活用した請求書OCRに関するよくある質問(FAQ)

AI請求書OCRの導入を検討する段階で、多くの担当者が抱く代表的な疑問について、実務に即した回答を提示します。
Q1. 手書きの請求書でも正確に読み取ることは可能ですか?
手書き文字に対応するAI請求書OCRもありますが、すべての製品が手書き請求書を読み取れるわけではありません。文字の癖、かすれ、画像の解像度、傾きなどによって誤認識が発生する可能性があります。
手書きの請求書を処理する場合は、実際のサンプルで読み取り精度を検証し、読み取り後に担当者が目視確認するか、オペレーター確認を含むサービスを利用する運用を検討しましょう。
Q2. 導入までに必要な準備期間や初期設定の目安はどのくらいですか?
導入期間は、利用するサービス、会計システムやERPとの連携、承認ワークフロー、取引先への案内の有無によって異なります。アカウント発行後に利用を始められるサービスでも、全社運用に移行するまでには設定やテストを重ねる期間を要します。
まず一部の部門や取引先で試行し、読み取り結果、確認手順、連携データを検証してから対象範囲を広げると、現場の負担を抑えやすくなります。
Q3. スマートフォンで撮影した画像データでもデータ化できますか?
スマートフォンのアプリやモバイルブラウザから画像をアップロードできるサービスがあります。ただし、対応する画像形式、ファイル容量、補正機能、読み取り対象は製品によって異なります。
撮影時の影、傾き、ピンぼけ、書類の欠けは読み取り精度に影響する可能性があります。導入前に対応端末と撮影条件を確認し、実際の画像でテストしましょう。
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まとめ:AIによる請求書OCRの導入で請求書処理を効率化しよう
AI請求書OCRは、請求書の入力や確認にかかる負担を減らし、経理業務のDXを支援するツールです。ただし、読み取り精度、受領代行、登録番号の照合、電子保存、会計連携などの対応範囲は、製品やプランによって異なります。
自社の請求書を使った読み取りテストを行い、既存システムとの連携、確認作業、法令要件まで含めて比較したうえで、業務フローに合うサービスを選定しましょう。

