「日本で使える生成AIにはどんなものがある?」
「自社に最適なサービスをどう選べばいいのかわからない」――。
2026年10月23日時点で確認できた日本企業の生成AIモデルと法人向けサービスを紹介します。基盤モデルを開発する企業と、国内外のモデルを組み合わせて業務機能を提供するサービスは区別が必要です。本記事では両者の特徴と、導入目的・日本語精度・情報管理・費用を確認するポイントを解説します。
成功事例も交えながら、あなたの会社が生成AI導入で成果を出すための具体的なヒントを提供します。AI導入の全体像を掴みたい方は、AX CAMPが提供するお役立ち資料もぜひご活用ください。
日本企業が開発する大規模言語モデル(LLM)3系列

NTT、NEC、ELYZAは、日本語や企業業務を重視したLLMを開発しています。日本語の精度や処理速度はモデル・評価条件・業務によって異なるため、日本製であることだけで海外製モデルより優れているとは判断できません。自社の文書と評価基準で比較しましょう。
モデルの開発国、運営会社、データの保存・処理国は別の確認事項です。国産モデルでも契約・運用構成によって情報の扱いは異なります。入力データの学習利用、保存期間、委託先、アクセス権限を確認し、法令・社内規程に適合する構成を選びましょう。
1. tsuzumiシリーズ(NTT)
NTTの「tsuzumi」シリーズでは、現在の候補としてtsuzumi 2が紹介されています。公式資料では1GPUでの動作を想定した設計が説明されています。初代の6億・70億パラメータという説明を、そのまま後継モデルの仕様として扱うことはできません。(出典:NTTのtsuzumi 2技術紹介)
初代tsuzumiは2024年3月に商用提供を開始しました。後継は性能や対応形式の拡張が進んでいるため、導入時は提供会社に利用可能なバージョン、カスタマイズ方法、必要GPU・メモリ、契約条件を確認してください。初代と同じ費用・運用条件になるとは限りません。
2. cotomi (NEC)
NECの「cotomi」には、企業業務やAIエージェントでの利用を重視したcotomi v3などの展開があります。NECは2026年3月に、同モデルがガバメントAIの試験導入対象に選定されたと発表しています。試験導入への選定は、すべての業務での性能や法令適合を保証するものではありません。(出典:NECのcotomi v3選定発表)
NECの公式紹介では、ツール選択や外部システム連携などの性能強化が説明されています。導入時には回答精度・速度を自社業務で試し、利用するモデルとサービスの提供範囲を確認しましょう。社員の利用人数だけで性能が証明されたとは判断できません。
3. ELYZAの日本語LLM
ELYZAは複数の基盤を利用した日本語モデルを開発しています。2026年10月2日には、llm-jp-4を基盤とするELYZA-Thinking-1.0-llm-jp-4-33bとELYZA-Thinking-1.0-llm-jp-4-32b-a3bを商用利用可能な形で公開しました。各モデルの用途・ライセンス・動作要件を確認して選びましょう。(出典:ELYZAの研究成果公開発表)
2024年10月に発表された「Llama-3.1-ELYZA-JP-70B」は、Llama 3.1に追加学習した当時のモデルです。引用資料は700億パラメータの発表であり、「ELYZA-japanese-Llama-2-7bがGPT-5.6を上回る」という内容ではありません。旧世代を採用する場合も現行候補と比較し、提供・サポート条件を確認してください。(出典:ELYZA、Llama 3.1ベースの日本語モデルを開発)
【業務効率化】日本企業向け生成AIサービス3選

法人向けサービスを選ぶ際には、学習利用の有無、権限管理、アクセス制限、利用ログなどを確認します。機能は製品・プランごとに異なり、「法人向け」という名称だけで必要なセキュリティ要件を満たすとは限りません。
ここでは、日本企業向けに業務機能を提供する3つのサービスを紹介します。国内企業のサービスでも、海外製を含む複数の基盤モデルを利用する場合があります。契約時には利用可能な機能とデータの取り扱いを個別に確認してください。
1. MANA Studio(株式会社ギブリー)
ギブリーは「法人GAI」などのサービスを展開してきた企業で、現在は「MANA Studio」として生成AI・AIエージェントの業務活用を支援しています。IPアドレス制限や利用履歴の管理などが紹介されていますが、利用可能な管理機能と学習・保存条件は契約時に確認してください。(出典:ギブリーのMANA Studio紹介)
2025年8月の公式発表は「GPT-5」への対応開始を伝えるものであり、「GPT-5.6」への対応発表ではありません。現在選べるモデルは変わるため、導入時に対応モデル一覧と提供条件を確認してください。(出典:MANA StudioのGPT-5対応発表(2025年8月))
2. exaBase 生成AI (株式会社エクサウィザーズ)
「exaBase 生成AI」は、エクサウィザーズのグループ会社Exa Enterprise AIが提供する法人向けサービスです。2025年7月22日の発表では、2023年6月の提供開始から2年で利用者10万人を超えたとしています。これは発表時点の数値です。セキュリティや業務用テンプレート、活用支援が紹介されています。(出典:exaBase 生成AIの利用者数発表)
同発表の「ひと月あたり2,500人分の業務時間削減」はサービスの利用状況に関する提供元の換算値であり、1社の導入実績ではありません。自社の削減時間は、対象業務と確認・修正の時間を含めて別途測定しましょう。AIエージェント等の機能は、提供範囲を確認して利用してください。
3. SPESILL (株式会社ファースト・オートメーション)
ファースト・オートメーションの「SPESILL」は、仕様書や手順書などの文書作成を支援する生成AIツールです。現在の公式ページでは、既存のExcel様式への文章生成や白紙からのExcelレポート生成が紹介されています。Word等の入力対応と、Wordへ直接出力できることは区別して確認してください。(出典:SPESILL公式)
フローチャートやレイアウト図の生成は、2024年2月の提供元発表で紹介された機能です。現在の利用可否、対応プラン、出力形式は提供元へ確認してください。生成した専門文書や図の妥当性は、業務の担当者が確認する必要があります。(出典:SPESILLの作図機能発表(2024年2月))
【用途別】特定業務に特化した日本の生成AIツール2選

特定業務向けの生成AIは、用途に合った設定や導入支援を利用できる場合があります。ただし、費用対効果や使いやすさはデータ整備・利用頻度・確認作業によって異なります。ここでは議事録作成と社内ナレッジ検索の2用途を紹介します。
議事録作成・文字起こし
「Rimo」は、日本語会議の文字起こしや要約を支援するサービスです。話者の識別や決定事項の整理を含め、必要な機能が対象プランで利用できるかを確認しましょう。固有名詞、数値、決定事項は録音や参加者の確認と突き合わせる必要があります。
記録の下書きにかかる時間を減らし、会議内容の共有を支援できる可能性があります。効果や認識精度は音質・話者数・専門用語などで変わるため、実際の会議で試し、録音・共有について社内ルールを整えましょう。
社内ナレッジ検索・FAQシステム
社内ナレッジ検索には「ナレカンAI」やRAG(検索拡張生成)を利用するサービスがあります。RAGは、必要な文書を検索して生成時の参照情報に加える方式であり、文書を登録することとモデル自体を追加学習することは同じではありません。
検索結果や参照元に基づく回答を支援しますが、必要な文書を見つけられない場合や誤った回答になる場合もあります。元資料の整備・更新、閲覧権限の反映、出典の提示と確認をあわせて設計してください。
日本で生成AIを導入する主なメリット2つ

日本企業が生成AIを導入することで得られる最大のメリットは、「定型業務の自動化による生産性向上」と「データ分析に基づく迅速な意思決定」の2点に集約されます。これらは、人手不足や変化の激しい市場環境といった、現代の日本企業が直面する大きな課題に対する強力な解決策となり得ます。生成AIは単なる業務効率化ツールに留まらず、企業の競争力そのものを高める戦略的な一手となるのです。
定型業務の自動化による生産性向上
メール文案や議事録要約、レポートの草案などは、生成AIによる支援を検討しやすい業務です。システムへのデータ入力まで自動化する場合は、別途連携の設定や権限管理が必要です。確認・修正や例外対応を含めた総工数で効果を評価しましょう。
ソフトバンクが紹介するアルフレッサの事例は、医薬品卸企業の社内問い合わせ業務への活用です。年間約1,550時間の問い合わせ対応削減と、品質向上を含む年間約6,000時間相当の生産性向上が報告されています。病院業務の実績や、6,000時間すべてが作業時間の削減という意味ではありません。(出典:アルフレッサ導入事例)
データ分析に基づく迅速な意思決定
生成AIは、市場情報や顧客の声などを要約し、判断材料の整理を支援できます。ただし、外部データへのアクセス・分析機能の有無は利用環境次第であり、出力が常に客観的・正確であるとは限りません。意思決定者は元データや計算を確認して判断します。
例えば、日々の売上データや顧客からのフィードバック、SNS上の口コミといった大量のテキストデータをAIに分析させることで、これまで気づかなかった新たなビジネスチャンスや潜在的なリスクを早期に発見できます。これにより、勘や経験だけに頼るのではなく、データに基づいた迅速かつ的確な意思決定が可能となり、変化の激しい市場での競争優位性を確立することに繋がります。
日本企業が生成AIサービスを選ぶ際の3つのポイント

自社に最適な生成AIサービスを導入し、失敗を避けるためには、「利用目的の明確化」「日本語処理能力とセキュリティの確認」「コストとサポート体制の評価」という3つのポイントを総合的に検討することが極めて重要です。これらの基準を持たずに流行だけでツールを選んでしまうと、「導入したものの使われない」「期待した効果が出ない」といった事態に陥りかねません。事前にこれらのポイントをしっかりと吟味することで、投資対効果を最大化し、生成AIの導入を成功に導くことができます。
1. 利用目的と機能の適合性
まず、「何のために生成AIを導入するのか」という目的を明確にする必要があります。例えば、「マーケティング部門の広告コピー作成を効率化したい」「カスタマーサポートの問い合わせ対応を自動化したい」「全社的な情報検索の時間を短縮したい」など、具体的な業務課題を洗い出します。
目的が明確になれば、それに必要な機能が見えてきます。文章生成、要約、翻訳、画像生成、データ分析など、サービスによって得意な機能は異なります。解決したい課題とツールの機能が合致しているかを丁寧に見極めることが、導入成功の第一歩です。
2. 日本語処理能力とセキュリティ
日本のビジネスで利用する以上、日本語の処理能力は非常に重要な選定基準です。特に、業界特有の専門用語や日本語ならではの曖昧な表現、敬語などをどれだけ正確に理解し、自然な文章を生成できるかを確認する必要があります。多くのサービスで無料トライアルが提供されているため、実際の業務に近い内容でテストし、日本語の精度を評価しましょう。
同時に、法人利用で最も重視すべきなのがセキュリティです。入力した機密情報や個人情報がAIの学習データとして二次利用されないか、通信が暗号化されているか、アクセス管理機能は十分かなど、自社のセキュリティポリシーを満たしているかを厳しくチェックすることが不可欠です。
3. コストとサポート体制
生成AIサービスの料金体系は、月額固定制、利用量に応じた従量課金制、ユーザー数に基づくライセンス制など様々です。自社の利用頻度やユーザー数を想定し、どの料金プランが最もコストパフォーマンスに優れているかをシミュレーションしましょう。無料プランやトライアル期間を活用して、機能とコストのバランスを見極めることも重要です。
また、導入後の運用をスムーズに進めるためには、提供元のサポート体制も確認すべきポイントです。導入時のトレーニングや、利用中の技術的な問い合わせに対応してくれる窓口があるか、日本語でのサポートが受けられるかなど、万が一の際に頼れる体制が整っているサービスを選ぶと安心です。
日本企業における生成AIの導入成功事例2選

業種や企業規模を問わず、多くの日本企業が生成AIを導入し、具体的な業務改善や新たな価値創出といった成果を上げています。ここでは、AX CAMPの支援を通じて、特に顕著な成果を達成した2社の事例を紹介します。これらの事例から、生成AIがどのように現場の課題を解決し、ビジネスの成長に貢献するのか、具体的なイメージを掴んでいただけるはずです。
株式会社Inmark:広告チェック業務を2週間で完全自動化
Web広告運用代行を手掛けるInmark様は、毎日の広告チェック業務に多くの時間を費やしているという課題を抱えていました。この定型的ながらも重要な業務を効率化するため、AX CAMPでAIツールの活用方法を学び、業務の自動化に着手しました。
提供元の取材記事では、Inmarkは受講開始から約2週間でGoogle広告の数値を15分ごとに通知する仕組みを開発し、毎日1時間以上のチェック作業が不要になったと報告しています。広告運用全体の無人化や、すべての企業で同じ成果が出ることを示すものではありません。(出典:Inmarkの取材記事)
WISDOM合同会社:日程調整の自動化を見据えて採用計画を見直し
SNS広告やショート動画制作を行うWISDOM合同会社様は、事業拡大に伴う人材採用コストと業務負荷の増大に直面していました。この課題に対し、AX CAMPの研修を通じて習得したAIスキルを活用し、徹底的な業務自動化を推進しました。
取材本文では、日程調整を自動化できる見込みが立ったことから採用計画を見直した経緯が語られています。「これから実装する」取り組みとして説明されており、2名分の全作業を実測で代替済みとすることはできません。計画・見込みと実現済みの成果は分けて参照しましょう。(出典:WISDOMの取材記事)
日本の生成AIに関するよくある質問

日本国内で生成AIの導入を検討する際には、技術的な側面だけでなく、法規制や導入対象となる企業の規模など、様々な疑問が生じます。ここでは、特に多くの企業担当者から寄せられる質問について、簡潔に解説します。これらのFAQを通じて、導入に向けた不安や疑問を解消し、より具体的な検討ステップに進むための一助としてください。
日本で生成AIを導入する際の法的な注意点はありますか?
生成物の利用では著作権、個人情報の入力では個人情報保護法などの確認が必要です。著作権侵害は、既存著作物への依拠性と類似性などを踏まえて個別に判断され、似ているだけで一律に決まるものではありません。(参考:文化庁のAIと著作権に関する資料)
個人情報は、特定した利用目的の範囲、学習利用の有無、第三者提供や委託の条件などを確認して扱います。「学習されない」設定だけで、あらゆる入力が適法になるわけではありません。社内規程に沿って入力対象を制限し、必要な法務確認を行ってください。(参考:個人情報保護委員会の注意喚起)
中小企業でも生成AIを導入することは可能ですか?
中小企業でも、クラウド型サービスを小規模に試すことは可能です。料金は利用人数・モデル・使用量・支援内容で異なるため、月額だけでなく設定・教育・確認作業の費用を含めて比較しましょう。
東京商工会議所の2024年5月の会員中小企業調査では、生成AIを活用している企業は11.7%、今後活用を検討している企業は33.5%でした。これは当時の回答企業の数値であり、日本の全中小企業の現在の利用率ではありません。(出典:東商けいきょう2024年4〜6月期)
専門家による伴走支援ならAX CAMPのAI研修

「自社に最適なAIツールがわからない」「導入しても現場で使いこなせるか不安だ」といった課題を抱えていませんか。生成AIの導入で本当に成果を出すためには、ツールの導入だけでなく、自社の業務に合わせた具体的な活用方法を学び、全社的に実践していく体制が不可欠です。
私たちAX CAMPが提供する法人向けAI研修は、単なるツールの使い方を教えるだけではありません。貴社のビジネス課題をヒアリングし、どの業務にAIを適用すれば最も効果的か、という戦略立案から伴走します。実務に直結するカリキュラムを通じて、受講者が自ら業務を自動化・効率化できるスキルを習得することを目指します。
ご契約プランに応じて、研修後も専門家による継続的なサポートを提供しており、新たなAI技術のアップデートにも迅速に対応できる体制を整えています。「AIを導入して終わり」ではなく、「AIを使いこなし成果を出し続ける」組織への変革を、AX CAMPが強力に支援します。まずは無料相談で、貴社の課題をお聞かせください。
まとめ:生成AIを日本で活用しビジネスを加速させよう
本記事では、2026年時点における日本国内の生成AIサービスと、その選び方、活用事例について解説しました。改めて、重要なポイントを以下にまとめます。
- 日本のLLMも進化:NTTの「tsuzumi」やNECの「cotomi」など、日本語に強く、国内のビジネス環境に適した高性能な大規模言語モデルが登場している。
- 法人向けサービスが鍵:業務で活用する際は、セキュリティや管理機能が充実した法人向けサービスを選ぶことが不可欠。
- 選び方の3つの軸:「目的の明確化」「日本語能力とセキュリティ」「コストとサポート」を基準に、自社に最適なツールを選定することが成功の分かれ道。
- 中小企業こそ活用を:クラウドサービスの普及により、低コストで導入が可能になり、人手不足などの課題解決に直結する。
生成AIは、もはや一部の先進企業だけのものではありません。定型業務を自動化し、データに基づいた迅速な意思決定を可能にするこの技術は、あらゆる企業の生産性を向上させ、新たな競争力を生み出すポテンシャルを秘めています。
しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、自社の課題に即した戦略的な導入と、現場での活用を定着させる取り組みが欠かせません。もし、AI導入の進め方や具体的な活用方法にお悩みであれば、専門家の知見を活用するのも有効な手段です。AX CAMPでは、貴社の状況に合わせた最適なAI活用プランの策定から、社員のスキルアップ、導入後の定着まで、一気通貫でご支援します。詳しい内容は無料相談にてご案内しておりますので、お気軽にお問い合わせください。





