「システム開発を外注したいが、要件が途中で変わるかもしれない」「自社に開発ノウハウが残らず、外注ベンダーに依存し続けてしまうのが不安」とお悩みではありませんか?ビジネス環境や要件に変化が見込まれる場合、開発パートナーと継続的に対話しながら進める「伴走型システム開発」は、検討できる選択肢の一つです。
本記事では、伴走型システム開発の考え方や受託開発との比較の観点、パートナー選定時に確認したいポイントをわかりやすく解説します。
伴走型システム開発の基本概要と従来の受託開発との違い

伴走型システム開発とは、発注側と開発会社が継続的に対話し、ビジネスの目的や優先順位を確認しながら開発を進めるスタイルです。仕様書どおりの納品だけでなく、事業上の目的や利用状況を踏まえて改善を続けることを重視します。
受託開発では、開発前に要件を整理し、計画に沿って進める方法が選ばれることがあります。一方で、開発途中に要件や優先順位が変わる可能性がある場合は、変更の扱いをあらかじめ定め、定期的に見直せる進め方を検討しておくと安心です。要件を早い段階で固定するか、段階的に具体化するかは、事業の状況や対象システムに応じて判断します。
伴走型システム開発では、変化に応じて優先順位を見直すためにアジャイル開発の考え方を取り入れる場合があります。また、契約形態として請負契約や準委任契約が選ばれることがありますが、契約形態と開発手法は一対一に対応するものではありません。プロジェクトの目的、役割分担、成果物、変更管理の方法を確認したうえで、適切な組み合わせを検討しましょう。
| 比較項目 | 従来の受託開発で見られる進め方 | 伴走型システム開発で重視される進め方 |
|---|---|---|
| 契約形態 | 請負契約など、成果物や責任範囲を定めて進める | 準委任契約なども含め、役割や稼働体制に応じて検討する |
| 開発手法 | ウォーターフォール型など、事前計画を軸に進める | アジャイル型など、段階的な確認と見直しを取り入れる |
| ゴールの設定 | 仕様・納品条件を明確にして進める | 事業課題や利用状況も確認しながら優先順位を見直す |
| 関係性 | 発注側と受注側の役割を明確にして協働する | 共通の目標や判断基準を共有して協働する |
このように、伴走型システム開発では、開発会社に任せきりにするのではなく、発注側も意思決定や評価に継続的に関わります。情報共有の方法や確認の頻度を事前に設計することで、プロジェクトの状況を把握しやすくなります。

DX推進において共創型の開発スタイルが選ばれる3つの理由

DX推進では、技術面だけでなく、業務課題の整理や優先順位の判断を継続することが求められます。自社と開発会社がそれぞれの知見を持ち寄る共創型の進め方は、そのための選択肢の一つです。
ここでは、伴走型システム開発を検討する際に確認したいポイントを3つの視点から解説します。
1. ビジネス環境の変化に対応しやすい柔軟性
ビジネス環境やユーザーのニーズが変化する場合、開発初期に想定した要件を見直す必要が生じることがあります。伴走型システム開発では、短い開発・評価のサイクルを設け、優先順位を定期的に確認しながら進めることがあります。
競合の動きやユーザーの反応を踏まえ、必要な機能や開発順序を見直せる点は利点の一つです。ただし、変更を効果的に扱うには、意思決定者、評価方法、変更時のルールをあらかじめ共有しておくことが欠かせません。
2. 自社にノウハウを蓄積し内製化を支援する体制
開発や運用に関する知識が外部ベンダーに集中すると、追加開発や保守の判断を自社だけで行いにくくなる場合があります。伴走型システム開発では、自社の担当者も開発プロセスに関わり、判断の背景や進め方を共有します。
プロジェクトを通じて、技術選定や開発の進め方に関する知見を自社に蓄積できる可能性があります。将来的にIT内製化を目指す企業は、どこまでを自社が担い、どこからをパートナーに委ねるかを明確にしておくことが大切です。
3. ユーザーのフィードバックを反映する開発プロセス
新規事業やDXプロジェクトでは、最初からすべての機能を実装するのではなく、最小限の機能を持つMVP(Minimum Viable Product)を用いて、利用者の反応を確認しながら改善する進め方もあります。
実際のユーザーから得たフィードバックを次の開発サイクルに反映することで、必要な機能や使いやすさを継続的に見直せます。対象ユーザー、評価する指標、反映する判断基準を事前に定めておくことで、ブレのない改善サイクルが回せます。
自社に最適な開発パートナーを見極めるための選定基準

自社に最適な開発パートナーを見極める際は、技術力だけでなく、ビジネスへの理解度やコミュニケーションの姿勢まで確認しておきたいところです。伴走型システム開発では継続的な協働が想定されるため、役割分担や意思決定の方法をすり合わせられるかが重要になります。
単に依頼内容を実装するだけでなく、自社の課題や前提を理解したうえで対話できるパートナーを選ぶことが大切です。以下の3つの基準を意識して選定を進めてください。
- ビジネス理解度:自社の業界やビジネスモデルに対する理解を深めようとする姿勢があるか
- 提案型コミュニケーション:判断材料や代替案を示しながら、必要な対話ができるか
- アジャイル開発の実績:伴走型やアジャイルでの開発経験があり、具体的な進め方を説明できるか
開発会社がアジャイル開発を掲げている場合は、定例の確認方法、優先順位の決め方、仕様変更への対応、成果物の共有方法を具体的にすり合わせておきます。過去のプロジェクトでどのように軌道修正を行ったかをヒアリングすると、協働のイメージを持ちやすくなります。
また、開発チームとの相性や、定例ミーティングでの意思疎通のしやすさも事前に確認しておきましょう。契約前にワークショップなどを実施し、実際の協働イメージを掴むことも選択肢になります。
プロジェクト開始からリリースまでの一般的な流れと支援内容

伴走型システム開発の進め方は、プロジェクトの目的や体制によって異なります。ここでは、共通のゴール設定から、設計・開発・評価を繰り返し、リリース後の改善を検討する流れの一例を紹介します。
プロジェクトの開始時には、ビジネスの目的や解決したい課題を整理し、必要に応じて共通のKPIを設定します。その後、以下のようなステップで開発を進めることがあります。
- 企画・要件定義:ビジネスゴールから逆算し、必要な機能の優先順位を決定する
- プロトタイプ作成:主要な機能のイメージを早期に形にし、認識のズレを防ぐ
- スプリント開発:短期間の開発サイクルを回し、動くソフトウェアを段階的に構築する
- リリースと評価:実際のユーザーの反応を分析し、次の改善計画を策定する
評価の場では、開発された画面や機能を確認しながら、「この配置は現場にとって使いやすいか」「業務フローに合っているか」といった観点を議論します。早い段階から確認の機会を設けることで、認識の差異や優先順位の変更に対応しやすくなります。
このプロセスを円滑に進めるには、定例ミーティングやチャットツールなどを通じて、判断事項や進捗をリアルタイムに共有する仕組みが欠かせません。コミュニケーションの頻度や記録方法は、プロジェクトの規模や体制に合わせて設計しましょう。
AX CAMPはシステム開発とは別に、AI活用の定着を支援します

株式会社AXが提供する「AX CAMP」は、システム開発サービスではなく、現場でのAI活用をゴールとした法人向けAI研修サービスです。生成AIの活用方法を学び、業務への落とし込みを進めるための伴走支援を行います。
伴走型システム開発を進める際には、開発パートナーの選定とは別に、AIを活用する業務や社内での運用方法を検討する場面があります。AX CAMPは、法人向けAI研修と業務活用の伴走支援を通じて、社内でのAI活用の定着を支援します。
本プログラムは、完全オンラインで受講でき、14時間のeラーニングとAI化計画のプランニングを組み合わせた設計となっています。さらに、半年〜年間にわたる伴走支援により、受講中に作成したAIツールを実際の業務で活用できる状態を目指します。
実際の導入事例として、株式会社グラシズ様では、LPライティングの外注費を10万円から0円に削減することに成功しました(株式会社グラシズの事例)。また、Route66株式会社様では、原稿執筆時間を最大24時間からAI出力10秒へと短縮しています(Route66株式会社の事例)。
さらに、WISDOM合同会社様では、採用予定だった2名の採用を見送り、日程調整業務の自動化を推進することで組織の効率化を実現しました(WISDOM合同会社の事例)。このように、現場の業務課題に向き合いながらAI活用を進める伴走支援が、AX CAMPの特長です。

まとめ:共創型のシステム開発で自社のDXを加速させよう
伴走型システム開発は、仕様や納品条件だけでなく、事業上の目的や利用状況も確認しながら進める開発スタイルです。要件変更の可能性、社内に残したいノウハウ、開発会社との役割分担を踏まえ、自社に合う進め方を見極めるのがポイントです。
自社の開発体制やIT人材の育成に課題を感じている場合は、外部パートナーとの協働方法を整理してみましょう。まずは対象範囲や評価方法を明確にした小さな取り組みから始め、得られた学びを次の改善につなげていくことが大切です。

